nanoinfo.jp ホームへ グローバルインフォメーション

ニュース

2007/09/18

グラフェンの未解決要素を実験により解決

発行元:Nanotech Web

2004年にグラフェンという材料が発見されて以来、この材料を研究する物理学者を混乱させていた「未解決部分の謎」を解明したと米国の物理学者らが報告しています。問題とされる未解決部分とは、実験で測定されるグラフェンのコンダクタンスと理論上予測されるコンダクタンス値との矛盾に関するものです。この研究チームはグラフェンシートの長さ・幅の比率と適用電圧を変化させながら、グラフェン微小片のコンダクタンスの測定を行いました。その結果、特定の形状の微小サイズのシートのみ、理論が当てはまることが示されました。

グラフェンは頑丈で、製造が容易で、熱および電気の最適なコンダクターであるため、ナノテクノロジーに携わる科学者に人気の物質です。また、原子1個分の厚みであるという点においても、グラフェンは「二次元的」な電子の奇妙とも思われる特性を研究するために理想的なシステムとなっています。

グラフェンのもっとも珍しいと思われる特性は、金属と半導体の両方の反応を見せることです。グラフェンシートの両端に電極を置き、表面にゲート電圧を印加すると、シートの電気コンダクタンスは半導体と同様にゲート電圧の値によって変化するでしょう。しかし、ゲート電圧が一定値以下に落ちても半導体と違い、コンダクタンスはゼロに達しません。これは金属の反応を思わせるものです。過去には、複数の物理学者が最小コンダクタンスを測定しようと試みましたが、理論上予測される値よりも高いπの係数(約3.14)が得られるだけでした。

一部の物理学者が理論の誤りを懸念する一方で、最小値はグラフェンシートのサイズと形状に依存するのではと考える物理学者も表れました。そして今回、カリフォルニア大学リバーサイド校(University of California at Riverside)のChun Ning Lau氏とその同僚らが、その考えが正しいことを示しました。

この研究チームは幅・長さが300nmから8,000nmまでの14種類の長方形のグラフェンの最小コンダクタンスを測定しました。その結果、長さが500nm未満で幅が長さの2倍以上あるサンプルでは、最小コンダクタンスが理論上の値に近づくことを発見しました。しかし、幅がこれより小さくなると、コンダクタンスは理論値よりも上昇しました。また、3,000nm以上の長さのあるシートの場合、幅が長さの2倍以上あってもコンダクタンスは常に理論値よりも高いことも発見しました。

Lau氏は、この実験により、理論が当てはまるのはきわめて微小のグラフェン片のみで、最小コンダクタンスはシートの形状に依存することが分かったと述べています。

オランダのLeiden Universityでグラフェンの研究を行う理論物理学者、Carlo Beenakker氏によれば、Lau氏のデータはコンダクタンスとサンプルの幅・長さとの関連性に関する理論的予測に合致するものであると述べています。また同氏は、Lau氏の取り組みが「グラフェンに関する章の締めくくりとなるだろう」と述べています。


© 2005-2010, Global Information, Inc. All rights reserved.